ベトナムの首都ハノイを訪れるなら、絶対に外せないスポットがあります。それが、2010年にユネスコ世界文化遺産に登録された「ハノイのタンロン皇城の中心区域(タンロン遺跡)」です。
1000年以上の歴史が幾層にも重なり、ベトナムの栄枯盛衰をそのまま形にしたようなこの遺跡は、歴史ファンのみならず、現代のベトナムを知りたいすべての旅行者に深い感動を与えてくれます。本記事では、タンロン遺跡の歴史的背景から見どころ、観光のアドバイスまで詳しく解説します。
1. タンロン遺跡とは?「昇龍」の名に込められた歴史
「タンロン(昇龍)」という言葉は、かつてのベトナムの都の呼び名です。1010年、李朝の初代皇帝リー・タイトー(李太祖)が、紅河のほとりに都を移した際、黄金の龍が空へ舞い上がるのを見たという伝説がその名の由来です。
この地は、11世紀から18世紀にかけて李朝、陳朝、黎朝といった主要な王朝が都として使用し、約13世紀にわたり政治と文化の中心であり続けました。
世界遺産に登録された理由
タンロン遺跡が世界的に重要視されているのは、「積み重なった歴史」にあります。2002年、国会議事堂の建設工事中に大規模な遺構が偶然発見されました。調査の結果、そこには各時代の宮殿跡や陶磁器が、地層のように重なって眠っていたのです。中国の支配、独立した王朝、フランス植民地時代、そしてベトナム戦争。この場所を歩くだけで、ベトナムという国の歩みを一気に見ることができるのです。

7世紀から19世紀にわたる各王朝の遺構が同じ場所で見つかっており、中国文化やチャンパ王国の影響を受けた建築様式が混ざり合っています。
2. タンロン遺跡の必見スポット5選
敷地は非常に広く、見どころが点在しています。効率よく回るために押さえておきたい5つのスポットをご紹介します。
① 端門(ドアンモン / Doan Mon)
遺跡の正門にあたる巨大な門です。皇帝のみが通行を許されたこの門は、U字型の壮観な構造をしており、今でも非常に良い保存状態で残っています。階段を上って門の上部に立つと、かつて皇帝が眺めたであろう景色を体感できます。
② 敬天殿(キンティエン殿 / Kinh Thien)
かつての皇城の中心的な建物があった場所ですが、現在は建物の土台と「龍の階段」が残るのみです。15世紀に作られたとされる、一本の岩から彫り出された龍の彫刻は必見です。龍は皇帝の象徴であり、その精緻な彫りからは当時の技術力の高さが伺えます。
③ ハノイ旗台(フラッグタワー)
19世紀の阮朝時代に建設された高さ33メートルの塔です。フランス植民地時代に多くの建物が取り壊される中で破壊を免れた、数少ない貴重な建造物です。頂上にはベトナムの国旗が誇り高く掲げられており、国の独立と自由の象徴として愛されています。
④ D67地下壕(秘密の作戦会議室)
タンロン遺跡のユニークな点は、中世の遺跡のすぐ隣に「現代史の舞台」があることです。ベトナム戦争時、ここは北ベトナム軍の最高司令部として使用されていました。原子爆弾の攻撃にも耐えられるように設計された分厚い鉄扉や、当時の通信機器がそのまま残されており、緊張感のある歴史の1ページに触れることができます。
⑤ 考古学発掘現場(ホアンジエウ18番遺跡)
通りの向かい側には、現在も発掘が続くエリアがあります。李朝から黎朝にかけての異なる時代の建物の基盤や、排水システムなどが重なり合う様子を直接見学できます。ここで見つかった陶磁器などの出土品は、敷地内の展示室で見ることができます。
3. 観光をより楽しむためのコツ
アクセスと入場料
タンロン遺跡はハノイ市内の中心部にあり、ホアンキエム湖から車で約10分、徒歩でも20分ほどの距離にあります。
- 営業時間: 8:00~17:00(月曜定休の場合があるため、事前に確認をおすすめします)
- 入場料: 30,000ドン(約180円前後)と非常にリーズナブルです。

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ベストシーズンと服装
ハノイは季節によって気候が大きく変わります。屋外を歩く時間が長いため、比較的過ごしやすい11月から2月頃がベストです。夏場(5月〜9月)は非常に高温多湿になるため、帽子やサングラス、十分な水分補給が欠かせません。また、神聖な場所であるため、極端に露出の多い服装は避けましょう。

最近では「タンロン遺跡の解読」というライトアップされた夜の観光ツアーも人気です。
4. まとめ:タンロン遺跡でベトナムの魂に触れる
タンロン遺跡は、単なる「古い石の跡」ではありません。それは、度重なる外国の支配や戦争を乗り越え、何度も立ち上がってきたベトナムの人々の強さとアイデンティティの象徴です。
静かな敷地内を歩き、龍の彫刻を見上げ、地下壕の重い扉を眺めるとき、あなたはハノイがただの活気ある都会ではなく、深い歴史の上に成り立つ「龍の都」であることを実感するはずです。
次回のハノイ旅行では、ぜひ半日かけて、この世界遺産の魅力をじっくりと味わってみてください。

